燃え尽きた萩往還250キロ

 萩往還250キロはそんなに甘くなかったです。
いくら去年完踏出来たからと行っても、たとえコースをほとんど把握しているからと思っていても、
そして自分なりに要領がわかったつもりでいても今年は強烈に跳ね返されてしまいました。

 去年の完踏記を書いたときには興奮してすらすらと文章が進んだのですが、今年はなかなか
気が乗りませんでした。しかしいつまでもほったらかしにしているとあの悔しさがどんどんと薄く
なってしまうのでやっと腰を上げることにしました。

 今年も前日の5月1日のお昼頃に山口入りをしました。今年から250キロの前日受け付けが
無くなったので瑠璃光寺に行く必要がありません。実は午後6時から開催されるウルトラセミナ
ーまでどう時間を過ごすかを同じ頃に旅館に着いている筈の栃木のファンタジスタさんと相談
しようと思っていました。
ファンタジスタさんとは去年は往還道を瑠璃光寺から板堂峠までを歩いて往復して来ました。
でも今回は急遽仕事で250キロは参加出来なくなったという事でした。いきなりショックな事
でした。1年ぶりにお会い出来る事を楽しみにしていたのに・・・。
そこで、その事を250キロを走って4日にこの旅館に来られる予定の熊本のAさんに知らせようと
電話をしてみると、なんとAさんは2月に申し込んだところ定員オーバーで断られたので参加され
ないということでした。例年Aさんは2月頃に申し込まれているそうなのですが、今年は異常人気
で12月20日に締め切られたのです。ダブルショックでした。

 6時になってウルトラセミナーに参加してみると、例年になく大勢の参加がありました。
その後は旅館で知り合った宮崎から来られたYさんと2人で居酒屋で前夜祭をしました。

 翌日、午前中は茨城から来られた韋駄天のDさんと湯田温泉に行って汗を流し、後は午後4時
まで旅館でゆっくりと過ごしました。
そして、午後5時前にスタート地点の瑠璃光寺に行ってみるとすでにわか練のメンバーはそろって
いました。今回は250キロにわか練から7人も参加です。(私もわか練に入っていました)
写真を撮ったりがやがやと談笑しているといよいよスタート時間が迫ってきました。
去年私が完踏したために参加する羽目になってしまったわかちゃんは今日の日のために琵琶湖
1周をしたり24時間練習会をしたりで気合い充分です。
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「えいえい、お~」の掛け声と共にスタートした我々のグループはウェイブスタートのために2分
遅れでした。

山口駅前を通って井出原橋を渡ったところから椹野川沿いの河川敷を上郷駅に向かって走って
行きます。いつもの事なのですが1キロ6分~6分半と結構速いペースです。
250キロも走るのに何でこんなに速く走るのだろうと思ってはいても取り残されるのが恐くてペー
スを落とせません。やがて去年この大会で36時間以内で完踏されて女性1位になられたY子さん
に追いついてしまいました。さすがに抜いてしまってはまずいと思って、しばらくY子さんに引っ張っ
て貰うことにしました。「Y子さんに着いて行くと36時間でゴール出来る!」なんて思いませんよ。
着いて行ける所まで着いて行こう、と言うだけのことです。
Y子さんは2週間前の「さくら道ネイチャー250キロ」も完走されてここに参加されている凄い人
です。

 13キロ地点の上郷駅前のエイド19時20分でした。エイドで給水していよいよ登り道です。
暗い道をひたすらY子さんに着いて行きました。下郷駐輪場のエイドで28キロで21時、ここまで
3時間です。ここまでほぼイーブンペースで走っています。
38キロ地点の門村でスタッフの人からY子さんに「現在女性トップです。」と声をかけられました。
あらためてえらい位置にいるのだなあと実感しました。

ここを左折して長門方面に向かいます。しばらく登り道で42キロ付近でやっと下り道になりました。
下りきった所が44キロ地点の西寺のエイドです。時間は22時55分でした。ここまでかなり早すぎ
るペースで結構疲れてしまいました。今年はかなり良いタイムで来ているにのだろうと思って地図
に記載している去年の通過タイムを調べてみると去年は23時となっていました。なんと5分しか変
わっていませんでした。こんなに疲れたのに去年と5分しか変わっていないと思うと去年よりも余裕
のなさに気分的に落ち込んでしまいました。

さすがにここからはY子さんには着いて行くことが出来ませんでした。ここからでもイーブンで走れ
るかバテてしまうかが超人と凡人との違いだなあと痛感しました。
エイドの隣にあるコンビニストアでおにぎりを買って食べてしばらく休憩しました。
ここからはいつもの様にひとり旅です。さっきまでの颯爽としたペースが嘘の様に落ちてしまいまし
た。「去年はここからでも結構走れたなあ」と思うと焦りはありますが体が動きません。
やはり練習不足なのでしょうね。

それでも気持の上ではそんなに遠くは感じないで豊田湖に着きました。
ここで58.7キロ、午前1時10分です。去年が午前1時頃の到着なので少し遅れて来ました。
ひとつ目のチェックをしているとカワニャンさんが追いついて来ました。
ここのエイドではうどんにおにぎりも付いていたのですが西寺のコンビニでおにぎりを食べていた
事もあってうどんだけを頂きました。
でも、正直言ってかなりバテていて食欲が落ちていましたね。

カワニャンさんは颯爽と走って行ってしまいました。私はというとゆっくりと暗い道を走って行くと
強烈な眠たさが襲ってきました。いつもの年でしたら満天の星を見上げて感動して眠たさを紛らし
たりするところですが、今回は疲労感が大きいためか凄く辛いことになってしまいました。
後ろから着た人にどんどんと抜かれて行きます。しかし自分は誰も追い抜く事が出来ません。

67キロの俵山温泉エイドを過ぎて左折して砂利ヶ峠に向います。
ここから長く厳しい登り道なのでまったく走ることができません。確か去年はこの峠を軽快に走って
行ったなあと思い起こされました。

やっと峠に着いて下り道なのですが、眠たさのためにペースを挙げることが出来ませんでした。
大坊ダムを越えてしばらく行った所の縁石についに座り込んで5分ほど目をつぶっていました。
少しすっきりしたので走り出したのですが、しばらく行くとまた睡魔に勝てなくなってまて座り込んで
しまいました。そんな事を3,4回繰り返しながらやっとの思いで80キロ付近の新大坊エイドに着い
たのは午前5時15分でした。辺りはすっかり明るくなっていました。去年通過した時はまだ真っ暗
でした。
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日本海にでて日の出を拝み、アップダウンの続く道を走ったり歩いたりして86.7キロ、海湧食堂に
着きました。時間は午前6時半、ここまで12時間30分です。
やっと生ビールが飲めます。これで少しは疲労回復してくれるでしょう。

毎年ここはおかゆ定食なのですが今年は中華丼でした。こちらのほうが生ビールにあいましたね。
すると疲労回復して眠気も完全になくなってしまいました。
 海湧食堂から俵島に向かう登り道を」快適に走る事ができました。
ここからの海に向かって棚田の風景は絶品です。
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やがて久津港を通って農協を左折して平坊分岐を左折して俵島に向かって行きました。
俵島チェックポイントで約99キロです。午前8時40分の到着でした。
ここでわか練のピロロンさんに出会いました。ピロロンさんはまだまだ元気で軽快に走って行きまし
た。ところが俵島から戻って漁港を走っているとピロロンさんから声が掛かりました。
声の方をみると彼は酒屋の前で缶ビールを飲んでいるではないですか!
暑さに負けて思わず誘われるようにそちらの方に行ってしまいました。
缶ビール360mlを1缶飲んで再スタートしようとするとピロロンさんはもう1本飲んで行くと言うこと
でした。しかも2本とも500mlのロング缶です。ある意味で凄い!

川尻岬に向かう途中で山口から参加の男女2人連れのランナーと知り合い川尻岬まで一緒に
走らせて頂きました。最初見かけた時にはご夫婦かと思いましたがランニングクラブ仲間だそ
うです。

107キロ地点の川尻岬に10時30分に到着しました。去年が9時頃なので1時間半の遅れです。
3つ目のチェックをしてから沖田食堂でカレーライスを頂きました。当然缶ビールも飲みましたが
今日は少し飲み過ぎですね。

川尻峠を出発して峠から急な下り道を下りて川尻漁港に出ました。魚市場の自販機で給水して
大浜海岸から立石観音に向かいました。立石観音によらずに直接千畳敷に向かえばどれだけ
楽が出来る事だろうと心の中でぼやきながら登り下りの道を行きました。もう暑さでヘロヘロです。
やっとの思いで117キロ地点の立石観音で4つ目のチェックを済ませました。
ここから千畳敷までは自販機がひとつも無いのでペットボトルを余分に1つ購入しました。
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いよいよ恐怖の千畳敷の長くて辛い登り坂が始まります。しかも今年は天気が良すぎてかなり
暑いです。だらだらと登り道が続きます。山の遙か上の方に風車が回っていました。あそこまで
登るのかと思うと気が滅入ってきました。汗が流れて目に入ってきます。
やがて「千畳敷」という標識が見えてきてここを左折します。
実はここからが地獄でした。というのはここからは全く木陰がありません。完全に日に焦がされなが
らいつ終わるか判らない厳しい登り道を歩いていきました。疲れで再び眠たさに襲われました。
何度、気が遠くなりかけた事か・・・。
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やっとの事で124.7キロ地点の千畳敷にたどり着いたときは午後14時25分でした。
去年よりも1時間40分遅いです。しかも去年みたいな余裕はなくぶっ倒れそうでした。
声をかけられてそちらを見るとコースを走っているはずのSさんではないですか。
しかも、着替えられてさっぱりした姿でした。お聞きすると川尻岬でリタイヤしたそうです。
それからわかちゃんもすでにリタイヤされて、現在わか練で残っているのは、カワニャンさんと
ピロロンさんとおおばさんと私の4人だけという事だそうです。

千畳敷のチェックをして長い長い下り道を走って行きました。登りの時の疲労が取れず強烈な
睡魔に襲われていました。どうしても我慢が出来なくなって途中のバス停のベンチで10分だけ
横になりました。


下りきって西本交差点を左折してしばらく走ると黄波戸エイドがありました。
ここは中学生がエイドのボランティアをしていてくれます。ここでトイレを借りたのですが畳の間
があったので再び10分ほど横になりました。
もう少しくらい横になっても眠たさは取れません。黄波戸の漁港の手前でピロロンさんが追いつ
いて来ました。ピロロンさんは先に行って酒屋さんを探しておくと言うことでした。1キロほど走って
いくとピロロンさんから声が掛かりました。見事にビールを売っている店を見つけていました。

ここで缶ビール350mlを1本飲んだのですが、彼はまたまたロング缶2本です。
ゆっくり飲んでいくというピロロンさんを残して先に出発しました。
またまたビールパワーで仙崎の町までは順調に走る事が出来たのですが、街に入ってしまって
一度赤信号で泊まってしまうと今度は走れなくなってしまいました。だらだらと歩いて143キロの
仙崎エイドに18時40分にたどり着きました。ピロロンさんとはここで再会しました。

 正直言って、もう充分でした。気持が萎えてしまってここでリタイヤを考えていました。数人が
ここでリタイヤを宣言していました。
ここから青島の鯨墓まで20キロを去年のペースでも往復4時間、そしてここから宗頭までの13
キロを2時間かかっています。ほぼ19時の今に6時間を足すと午前1時に宗頭に着く予定になり
ます。それも去年並の元気があっての事でです。しかも去年は宗頭を午前0時に出発してゴール
出来たのは制限時間の15分前でした。そんな事がグルグルと計算されました。

 しかし、気持を奮い立たせて鯨墓まで向かうことにしました。ピロロンさんは元気を取り戻した
みたいで再び走って行きましたが、私はもう走る力が残っていませんでした。それでも早足で
歩いて行きました。
すでに日は落ちて辺りは真っ暗です。気持もどんどんと暗くなってきました。
参加前から判っていたことなのですがここ青島は丁度日暮れに差し掛かるので気持も落ち込み
やすくなってしまうのでリタイヤ要注意ポイントだったのです。でも、良く判っているのですが気持
の落ち込みはどうにもなりません。
道は厳しく、アップダウンが続きます。やがて歩道もなくなりしかも車はかなり通過して行きました。
「何で仙崎でやめなかったのだろう・・・。」後悔の念が浮かびます。しかし、
「いやいや、粘れば何とかなる筈だ、時間はまだある。」と思ってみたり
「もう限界かな・・・。」ということが交互にグルグルと巡りました。

やはり予定よりも30分オーバーで153.8キロの鯨墓に21時30分に到着しました。
先行したピロロンさんも股関節を痛めてしまったので追いつきました。
ここでエイドの人に
「ここでリタイヤしたらどうなりますか?」 と聞いてしまったのですべて終わってしまいましたね。
「車で宗頭まで送りますよ。」本当に地獄で天からの救いの声に聞こえました。
一応ピロロンさんに「どうします?」と聞いてみると
「もう走れそうにないのでやめます。」と言うので便乗してリタイヤする事にしました。

153.8キロ、27時間30分でした。
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その後、宗頭文化センターに送られて一泊して次の日は萩までの20キロの道を
ウォーキングしたのですが、その事は後日記します。

なお写真をアップしました。ダウンロードは自由にして下さい。
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by szsato | 2010-05-08 12:24 | 大会
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